鶫の書

鶫書房房主の古書蒐集と読書の記録です。

秋艸道人、題簽

 2022年2月18日である。

 

 高橋文彦著・財前謙編『會津八一題簽録』(武蔵野書院・2005年) 1180円。

 小笠原忠編『会津八一歌がたみ 奈良』(宝文館・1979年) 新装版 帯 300円。

 

 いずれもネットで購入。題簽録はまだ新刊も売っているけれども、良い本。八一が題簽を書いている歌集歌書や歌誌は、やはり早稲田系の人々、窪田空穂門下の人々が多い。歌集歌書では窪田空穂『さざれ水』、吉野秀雄『苔径集』『寒蟬集』『早梅集』、岩津資雄『事に触れて』、染谷進『染谷進歌集』、村崎凡人『御歌人としての後鳥羽上皇』、谷馨『青雲』、世良延雄『蒲の穂』、村木清一郎『譯萬葉』、今井雨葉『寒窓集』、歌誌では『槻の木』(一時期改題されていた時の誌名『國文學』も)、『遍路』、『作歌』、『はたれ』、『新潟短歌』などか。清水信主宰の新短歌雑誌『作歌』の題簽は意外である。

 歌集ではないが、村上龜齢『惜春雑記』について八一は後に「実につまらぬ本にて題簽せしことを後悔せり」という封書を残している。こういう事もむろんあるのであろう。