鶫の書

鶫書房房主の古書蒐集と読書の記録です。

2022-01-01から1年間の記事一覧

平山亜佐子『問題の女—本荘幽蘭伝』(平凡社・2021年)について

2022年8月7日(日)である。 題記の書物であるが、ちょっと気になった点があったので記す。編集者の間違いではないのだが、再版や増補版の出版が検討された場合には訂正してほしい点がある。 133頁。1907年に上野公園で開催された東京勧業博覧会で目撃された…

我楽多市

2022年7月29日(金)である。 ひさびさの更新。東京古書会館にて。金曜日の昼に向かう。最近昼は水道橋に舞い戻って仕事をしているので(会社は異なるのだが……)、毎週金曜日のお昼休みが楽しみになっている。その分、土日は疲れてしまって、わざわざ高円寺…

BOOK & A

2022年5月12日である。 西部古書会館にてBOOK & A。 山本英輔『真理の光』(千代田書院・昭和27年・再版) 函 700円 F・カプラ著/吉福伸逸・田中三彦・島田裕巳・中山直子訳『タオ自然学』(工作舎・1979年) 帯 300円 レイモンド・M・スマリヤン著/桜内…

杉並書友会

2022年5月8日である。 西部古書会館にて杉並書友会。特になし。 現代文学研究会(代表太田次郎)『アプレ・エロチスム』(菊書房・昭和26年) 200円 堤千代『再会』(新潮社・昭和18年・6刷) 200円 堤千代『柳の四季』(新潮社・昭和17年) 200円 他に『芸…

光瀬俊明『AとBとの手紙:獄中でよみがえった魂の記録』

2022年4月27日である。 光瀬俊明『AとBとの手紙:獄中でよみがえった魂の記録』(講談社・昭和45年)。 光瀬俊明(1899-1974)は、倉田百三(1891-1943)の書生だった人で、大正14年に倉田が主宰して岩波書店から発行していた求道的文藝雑誌『生活者』の実…

暗い時代を暗い時代として感じないこと

2022年4月25日である。 「近代日本宗教史」第2巻の『国家と信仰——明治後期』(春秋社・2021年)の末木文美士「第一章 総論——帝国の確立と宗教」を瞥見。「四 大逆と宗教」で、明治43年(1910)の大逆事件が、「思想や言論に携わる人たちにとって、まさしく「…

好書会

2022年4月23日である。 このところ蒐書よりも読書に励んでいた。それと国会図書館の遠隔複写の件があって、資金にも限度があるので、不要不急の蒐書は控え、区立図書館を利用するなど、節約生活をする。 好書会。本当はぐろりや会や本の散歩展に行きたいのだ…

買った本

2022年4月10日である。 ネットで買った本。金欠につき、あまり買ってません。 ヴォルフガング・ケンプ『レンブラント【聖家族】』(三元社・1992年) 1000円 ハルトムート・ベーメ『デューラー【メレンコリアⅠ】』(三元社・1994年) 帯 198円 内藤湖南『支…

買った本

2022年4月3日である。 ネットで買った本。あまり買ってません。 ガダマーほか『芸術の終焉・芸術の未来』(勁草書房・1990年・2刷) 帯 26円 ヴォルフガング・ケルステン『クレー【大はしゃぎ】』(三元社・1997年) 帯 631円 いずれも美本。三元社の「作品…

青札古本市

2022年3月31日である。 西部古書会館にて青札古本日の初日。なかなかよかった。 『金子洋文集』新進傑作小説全集(平凡社・昭和5年) 函 200円 ラビ・ピンハス・ペリー『トーラーの知恵』(ミルトス・1990・3刷) 帯 200円 ロジェ・カイヨワ『旅路の果てに:…

買った本

2022年3月26日である。 本来ならば高円寺に行っているところだが、風が強いので止める。 代わりに今週買った本を記しておく。忘備録。 ジャン・バゼーヌ『バゼーヌ芸術論:現代絵画覚書』(美術公論社・昭和53年) 2円 ヴォリンゲル『抽象と感情移入』(岩波…

買った本

2022年3月13日である。 特に何もないが、最近購入した本の報告。 藪道子『つむぎの人:館山一子の歌とその生涯』(崙書房・1996年) 500円 原奈保子歌集『寂光』(杉風会・昭和13年) 232円 石毛源歌集『江南戦線』(砂子屋書房・昭和14年) 函 100円 植原秀…

書狼書豚

2022年3月12日である。 表題に掲げた「書狼」「書豚」という言葉は、辰野隆の随筆「書狼書豚」によって知られている。その意味するところは下に記すが、それとは別に由良君美『椿説泰西浪漫派文学談義』や池澤夏樹『見えない博物館』による紹介があり、その…

西部古書展書心会

2022年3月11日である。東日本大震災より11年である。犠牲者のご冥福を祈り、黙禱する。 西部古書会館にて「西部古書展書心会」。 田中香涯還暦記念歌集『草籠』(私家版・昭和9年) 200円 於保多梅村歌集『庭櫻集』(紫羅闌花社・昭和10年) 函 400円 田中香…

「櫟原」第54号

2022年3月9日である。 千葉県市原市の鈴木仲秋先生より「櫟原」第54号を賜る。毎号楽しみにしている。 【見る】は市原市武士古墳群(武士三山塚)の馬頭観音の碑のお話。鈴木先生のこれまでの見聞から、この近くを通っていたとされる藩道との関わりが語られ…

十月会例会

2022年3月8日である。 今夜はとしま区民センターにて「十月会」の月次例会である。天候がわるいかったのが影響したか、参加者がいつもより少なかったのは残念だった。しかし、久しぶりに元気な御姿を拝見した歌人の方々もいて、私としては有意義に、楽しく過…

昭和26年の歌壇言葉

2022年3月6日である。 片山貞美「現代歌人論」を読もうと『日本短歌』(日本短歌社・昭和26年10月号)を読んでいたら、「歌壇言葉ニユウ・ルツク」という埋め合わせの欄があって、そちらのほうが面白かった。「あなたの心に浮んだ歌人の名前をこの下にあては…

古書愛好会

2022年3月5日である。 西部古書会館にて「古書愛好会」。本の少なさにびっくりした。中央の通路両側が何もないので、全部で五列しかない。ここで三十分以上時間を使わないといけない事情があったので、何度も見て、以下のものを買った。 上村占魚『會津八一…

東京愛書会

2022年3月4日である。 東京古書会館での「東京愛書会」。久しぶりだったが、特に何も買うものがなかったので、書くことがない。 角の棚でお爺さん二人がほんの一瞬いさかいを起こしていたが、いっぽうが身を寄せたので収まった。 また、白っぽい本も黒っぽい…

早稲田、古本屋、飴

2022年3月3日である。 それにしても早稲田の古本屋街のさびれかたには悲しいものがある。昨年のことだが、私は十数年振りに訪れて、そう感じた。買いたい本も店頭にはほぼなくて、たまにあったとしても値札が昔のままなのか、高い。BIGBOXや穴八幡の古本市も…

第101回彩の国所沢古本まつり

2022年3月2日である。 所沢のくすのきホールで恒例の古書展「彩の国所沢古本まつり」。私が買う本はほぼないと分かっているが、会場が広く出店数も多いので行く。雰囲気ものんびりしていて楽しいのだ。 小倉三郎『まぐろの感覚』(多摩書房・昭和49年) 帯 …

澄宮(三笠宮)、庄野英二、童謡

2022年2月28日である。 庄野英二『鶏冠詩人伝』(創元社・1990年)に、こんな挿話がある。 庄野(1915‐1993)は大正11年(1922年)、父貞一が初代校長を務めた帝塚山学院幼稚園に入園したのだが、当時、大正天皇の第四皇子である澄宮(後の三笠宮、1915‐2016…

好書会

2022年2月27日である。 西部古書会館で開催されている「好書会」の二日目へ。閑散としていて、客としては快適な環境。帳場でのやり取りに笑う。 「○○さん、電話。可愛い女の子の声……」 「えっ、あ、」 「噓だよ」 有線なのか、内山田洋とクール・ファイブな…

福田栄一、この花に及かず

2022年2月25日である。 福田栄一の第三歌集は『この花に及かず』(洗心書林・1948年)。 これは今はなき短歌新聞社の「短歌新聞社文庫」にも入っていて、この文庫本(1996年)はわりと安く手に入る。ただ、元本となると意外と入手困難である。昭和19年夏から…

矢ケ崎奇峰、良寛、子規

2022年2月24日である。 以前に購入していた歌誌「槙の木」昭和24年4月号。復刊第一号であり、矢ケ崎奇峰翁追悼特集号でもある。 これは窪田空穂門下の岩崎睦夫を中心とした槙の木会を母体とする短歌雑誌で、長野県松本市で発行されていた。 前年4月15日に逝…

高階廣道、釈迢空

2022年2月23日である。ネットで購入した本。 高階廣道『橿の生』(高階研一・1957年・再版) 100円 これは再版で、初版は昭和23年(1948年)に刊行された。内容における初版との違いは巻末に家族による思い出の記が追加されたことである。父・研一は初版でも…

三省堂書店池袋本店古本まつり

2022年2月22日である。三省堂書店池袋本店「古本まつり」。出店は、古書明日、アットワンダー、一角文庫、石田書房、古本うさぎ書林、大村書店、かぴぱら堂、九曜書房、虎十書林、古書瀧堂、中央書房、東京くりから堂、夏目書店、にわとり文庫、吉本書店、ハ…

歌集なき歌人、渡邊光風

2022年2月20日である。 自分の歌集を編纂していて思うことがある。 十代の終わりからの作品を一応は記録してあるのだが、当然ながら現在の眼から見て、歌集に採録出来る歌など一首も無い。二十代もそうだ。これはちょっと驚きでもあったが、当然のことかとも…

井伏鱒二、夏の狐

2022年2月19日である。 井伏鱒二『場面の効果』(大和書房・1966年)に「夏の狐」という短篇が収録されている。昭和8年に書かれたものだそうで、これより先に『夏の狐』(三島書房・1947年)に収録されている。 自分が小さい頃には「狐にだまされた娘」がい…

秋艸道人、題簽

2022年2月18日である。 高橋文彦著・財前謙編『會津八一題簽録』(武蔵野書院・2005年) 1180円。 小笠原忠編『会津八一歌がたみ 奈良』(宝文館・1979年) 新装版 帯 300円。 いずれもネットで購入。題簽録はまだ新刊も売っているけれども、良い本。八一が…