2022年2月22日である。三省堂書店池袋本店「古本まつり」。出店は、古書明日、アットワンダー、一角文庫、石田書房、古本うさぎ書林、大村書店、かぴぱら堂、九曜書房、虎十書林、古書瀧堂、中央書房、東京くりから堂、夏目書店、にわとり文庫、吉本書店、ハナメガネ商会、ハーフノート・ブックス、文紀堂書店、ほん吉。本当に全部出店していたかは未確認。
デパート系の古書展は期待できず、出店者を見ても、ちょっと私には厳しいかなと思った。実際厳しかったが、客はぱらぱらといて、お昼近くになると、老人や、私のような無職者風にまじって、ちらほらと若者も混じる状態になっていた。
橘漣子『さざなみ』(香蘭詩社・1937年) 函 1000円
市村樵雨『漁火』(下野短歌社・1934年) 函 500円
橘漣子は本名立花聯子。陸軍大将立花小一郎(1861-1929)の息女。村野次郎編纂の遺歌集である。昭和11年(1936年)8月没。たまたま杉本三木雄『盛装』(短歌新聞社・1983年)の「あとがき」を読んでいたら、昭和11年「香蘭」に入会とあった。杉本というと筏井嘉一門下の「創生」の人だが、第一歌集『小流』は〈香蘭叢書〉として出されている。杉本は橘漣子の事はほとんど知らなかっただろうと、そんなすれ違いが心を過ぎった。
市村は「詩歌」「月草」を経て「覇王樹」同人。序文を臼井大翼が書いている。市村にはすでに第一歌集として『山脈』(白帝書房・1930年)がある。「郷土小唄」また「新民謡」の作詞家でもあって、古賀政男作曲で「野州小唄」「いばらき小唄」をコロムビアから出し、町田嘉章作曲で「悲戀高尾の唄」をビクターから出したりしている。器用な人ではあったようだ。
今回は九曜書房のみが好みの棚だった。